E.連休中は女子みたく。


連休休み2日目--日--続

そうして、なんだかぎこちない中カラオケは再び再開。
俺たちがいることに、さほど気にもとめてないようで、女子たちは歌ったり笑ったりしている。

つか、ぎこちないのって俺らだけ!?

「大ちゃん、くすけん何かんがえてんだろ?」
「ん、なにって?」
「〜〜〜....わかんね、もういいや」
「は、じゃあ言うなって」

さっきから、くすけんが何考えてんのかよくわかんない俺を、大ちゃんはにやけながら見ている。
はあ、まあいいか。
くすけんも、楽しそうだし。

そう思いながらちらっとくすけんを見る。
積極的に話しかけてくる女子に、少し戸惑ってるくすけん。
そんなお前もかわい.......っと、あぶねぇ。

つか、さっきから思ってたことがひとつ。

《こいつら.......同じジャンルの歌しか歌ってねぇ!》

なんだよ、俺も大ちゃんも知らないしそんな歌!

琥陽は、なんかむちゃくちゃ高い曲をしかも地声で歌うし。
柚木は、なんかすげぇビブってるし。
大嶋は、なんか舌回ってないのに速い曲歌ってるし。

はー...結局あれだな、今日はくすけんとの距離詰めるってのは無理ってことだな。

......ん、
今何か....わかったような。
何でくすけんが、同じ部屋にしたのか。

---

「くすけーん」
「ん、どしたの?大ちゃん」

気づけばとっくに12時過ぎていた。

「そろそろさ、お腹すかね?」
「おー、そいえばお腹すいてきたかも」

その言葉をくすけんが口にすると同時に、大ちゃんはくすけんの左腕を右手で掴んだ。

「だ、大ちゃ((」
「俺ら、すぐそこのファミレスで食べてくるからー」

マイクを持って大ちゃん達をガン見する女子達。
つか、なんか言えよ!

----がちゃ、

しん、とした空間の中で聞こえたのは個室から解放できる扉を開けた音だった。
開けたのは、大ちゃん。

......え゛、つか俺ってどうなるんだよ!?

「ちょ、大ちゃん俺もー......」

そう言ったのが、ワンテンポ遅かったらしい。
言い終わらないうちに、扉はぱたんとしまってしまった。
くそっ....なんだよもー!

----がんっ

思わず側の机を思い切り蹴り上げる。
その弾みで、上に乗っているジュース入りのコップが一気に零れて床に落ちる。

.......はぁぁ、

大きくため息をついて、ジュースをふこうとしゃがみこんだ瞬間。

----がちゃ..

控えめに開いた扉の先を見て、俺は目を何度も瞬きさせた。
あれ、確かさっき........

「な、なにしてんの亮ちゃん!」
「なにって、お前....」

なんでさっき大ちゃんと出てったくすけんがここに?

「2人で行くとでも思った?亮ちゃんも一緒に行くの!」

そう言いながら、伸びてきたくすけんの両手が俺の両手に重なった。
そのままきゅっ、と包み込むように握られる。

『せーのっ』の掛け声で、一気に反動を付けて起きあがる。
ま、ほとんど俺が自主的に起きあがってるんだけどな。
そのあとしばらく向かい合って、握られた両手が、なんだか妙に照れくさかったけど。



そんな光景を、女子達がどんな顔で見てたかなんて、くすけんはもちろん、俺にもわかるはずなんてない。

「じゃあ、行ってくるからー」

ぎこちなく笑顔を作って、くすけんは女子たちに小さく手を振った。
女子たちは、にこにこしながら何も言わずに俺らを見ていた。

.....ん、どこみて----

よく見たら、視線の先は俺らの間を繋ぐ手だった。
なんで見てんのか、わかんなかったけど、まあいっか。

俺はちらっとくすけんを見て、繋がれている手をくいっ、と引っ張って扉にもう片方の手をかけた。


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